AIDMA理論について
商品を売る技術である広告にはいくつもの理論がありますが、なかでももっとも有名なのが、AIDMA(アイドマ)理論です。これは、広告が消費者に及ぼす(べき)作用を分析したもので、それぞれ、Attention(注意)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の頭文字をとったものです。通常、広告に接した人は、まずデザインで目を引かれ(Attention)、ついでキャッチフレーズで興味を抱き(Interest)、ボディコピーを読むことで(商品に対する)欲求をかきたてられ(Desire)、さらに(商品名を)記憶に焼き付け(Memory)、そして最終的に購買行動を起こす(Action)、という順序で態度を変容させると考えられています。AIDMAはそれを一連の心理的過程として理論づけたもので、現在、すべての広告は原則としてこのAIDMAの基本にのっとって作られているといっても過言ではありません。
ところで、このAIDMAの基本はマーケティング活動全般にも応用されています。通常、セールスプロモーションのキャンペーンを行う際、TVコマーシャルは、Attention(注意)を引き、新聞雑誌広告は、Interest(興味)を抱かせ、カタログは、Desire(欲求)をかきたて、そして店頭でのプロモーション活動がAction(購買行動)を起こさせるという具合にそれぞれ役割を分担しています。もちろん、実際にはこれほど単純なものではありませんが、おおざっぱな理解のためにはそう考えてさしつかえないでしょう。第1章で、TVコマーシャルや新聞雑誌広告、カタログなどがそれ自体では「販売」を完結しない、と述べたのも、実はそういう意味からです。
ページトップへ ダイレクトメールが機能するプロセス
これに対してダイレクトメールは、それ自体で販売を完結します。では、それはどのように機能するのでしょうか。ここでちょっと分析してみましょう。まず自宅にダイレクトメールが届きました。あなたは、どうしますか。そのままゴミ箱に捨ててしまいますか。しかし、通常は何のダイレクトメールなのかくらいは確認してから捨てるのではないでしょうか。一般にダイレクトメールは封筒を見ただけで何のダイレクトメールなのかがわかるようになっています。したがってあなたは封筒のコピーをちらっと読み、そこでどうするか判断します。もし「興味」を持たなかったら、当然それはゴミ箱へ直行ということになります。しかし、もし興味を持ったら一応封筒を開けてみようとするはずです。中味を出して、ざっと目をやったあなたは、次にどういう行動をとりますか。コピーを読み、やっぱり「いらない」となれば、そのままゴミ箱にポイです。けれど、これはよさそうだと「欲求をかきたてられたら」、封筒に入っている書類をかたっぱしから読んで、それが本当に良いものであるかどうかを確認しようとするでしょう。そしてその結果、本当に良いものであるとの「確信」が得られたら、おそらくあなたはすぐその場でということではないにしろ、近いうちにきっと申込用紙に記入し、郵便ポストに投函しているのではないでしょうか。
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このダイレクトメールにおける一連の流れをAIDMA理論でもう一度跡づけてみましょう。まずAttention(注意)ですが、これは、封筒のデザインや上書きされたコピーによって「おや、なんだろう!」と注意を引くように作られています。もっとも、通常は自宅にダイレクトメールが届いたということ自体が「注意」を引きますので、封筒のデザインやコピーはむしろ次の段階であるInterest(興味)を抱かせるように作ってあることが多いようです。さて、興味を抱いたあなたは封筒を開けて、中味を確認しました。通常、ダイレクトメールの中には、商品を説明したカタログが入っていますが、これがDesire(欲求)をかきたてる働きをします。
さて、AIDMA理論によれば、次にくるのはMemory(記憶させる)という段階ですが、これは主にTVコマーシャルなどの場合であってダイレクトメールの場合、これはそれほど重要なものではありません。そのかわり、ここでは「確信」という段階をもってきました。一般に現代人は、商品がいくらいいものであると「知った」としても、それが本当にいいものであると「確信」できなければ購買行動には移りません。そしてこの確信には、商品の品質に関する確信だけでなく、それを売っている企業に対する「信頼感」も含まれます。ダイレクトメールの場合、この「確信」や「信頼感」は一般に有名人や専門家による推薦文や使用者の声(もっともなかにはいかがわしいものもありますが)などによって得られます。またダイレクトメールでカタログ以上に大事だとよくいわれるのが、「レター」と呼ばれる手紙形式の書類ですが、このレターの末尾に差し出し人の名前(通常、企業の担当者に名前)を自筆で載せるのも、「信頼感」を醸し出すのに有効とされています。
ページトップへ ホームページにアクセスする経路
それでは次にこのAIDMA理論をもとにホームページを分析してみましょう。ところでここで注意しなければならないのは、見込み客(ホームページにアクセスしてくる人をここではこう呼ぶことにします)が、「ダイレクト」にあなたのホームページにアクセスしてくることはありえないということです。それは電話を引いたからといって電話番号を公開しない限り、誰もあなたに電話をかけることができないのと同じ理屈です。したがって最初に検討しなければならないのは、見込み客は、いったいどのような経路をたどってホームページにアクセスしてくるのか、という問題です。
見込み客がホームページにアクセスしてくる経路はいくつか考えられますが、もっとも多いのが検索エンジンを通してアクセスしてくるケースでしょう。また雑誌などにホームページアドレスを「広告」した場合は、それによってアクセスしてくるケースも考えられます。さらに他のホームページに「リンク」を張ることによって、アクセスしてくる人もいるはずです。
しかしながら、いずれの経路をたどるにしろ特定のホームページにアクセスするためには、最初に何らかの「告知広告」がなければならないということを理解しておく必要があります。実はこのあたりは「売る」ホームページを制作する上でもたいへん重要なポイントとなりますので、きちんと頭に入れておいてください。
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さて、以上をベースにホームページにアクセスしてきた見込み客の心理をAIDMA理論で跡づけてみましょう。まず見込み客が最初に接触するのは、検索エンジンや新聞雑誌などの既存メディアによる広告、さらに他のホームページの「リンク」などです。そしてそれらの「告知広告」は見込み客に対し、ホームページに関する注意を喚起し、興味を抱かせる働きをします。これはAIDMA理論でいえば最初の2つ、すなわち注意(Attention)と興味(Interest)の2段階に対応します。ここでもし、見込み客に興味を抱かせることができたら、とりあえず前半部分は成功です。彼は検索画面のボタンをクリックするなり、自分でホームページアドレスを入力するなりして、あなたのホームページにアクセスしてくることでしょう。
では、あなたのホームページにアクセスしてきた見込み客は、次にどういう行動をとるのでしょうか。おそらくまずはホームページをざっと眺め、あるいは拾い読みしながら、そこに本当に自分が欲しい商品があるかどうかを発見しようとするでしょう。そしてもし、そこに欲しい商品があった場合、彼はそのコピーをじっくり読んで、購入を検討するはずです。これは、AIDMA理論でいえば3番目のDesire(欲求をかきたてられる)の段階に相当します。
次は、Memory(記憶させる)の段階ですが、先ほどダイレクトメールの分析でも述べたようにホームページにおいても、これはそれほど重要ではありません。ここではダイレクトメールの場合と同様、「確信」という段階をもってきましょう。この確信には、商品そのものが間違いなく良いものであるという商品の品質に対する「確信」と同時に、それを売る企業 -- つまりあなたのホームページです -- に対する「信頼」も含まれます。そして、この信頼は、ホームページの場合、とりわけ重要な要素です。というのは、人々は現在オンラインショップに対して必ずしも大きな信頼を置いていないからです。もっともそれはかつて通信販売がそうであったように、黎明期にある新しい販売手法として避けられない宿命のひとつといえないこともありません。しかしいずれにせよ、将来オンラインショップが多くの人々に受け入れられるかどうかは、今後の私たち一人ひとりの行動と自覚にかかってくることは間違いないでしょう。お互い、心しておく必要があります。
さて、「信頼」を生むためのノウハウについては後章であらためて説明しますが、ここではとりあえず、見込み客があなたの商品を「確信」し、またあなたの姿勢に対しても「信頼」してくれたとします。次に見込み客がとる行動は、いったい何でしょうか。そう、注文です。もはやここまで来れば、彼は一刻も早く、商品を手に入れたいと思うでしょう。となれば、あなたの役目は、彼に注文フォームを差し出し、できるだけすみやかに「注文ボタン」をクリックさせること以外にありません。この段階が、AIDMA理論でいうAction(購買行動)に相当します。
ホームページを見たから買いたくなるのか、買いたいからホームページを見るのか
以上、ホームページにアクセスした見込み客の行動パターンを、詳しく分析してみました。ところでもうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、ホームページにはダイレクトメールとは大きな相違点があります。それは、ホームページ自体にAttention(注意を引く)とInterest(興味を抱く)の部分が欠落しているという事実です。これは、ホームページがダイレクトメールと同様にそれだけで「販売」を完結させることができる、という先ほどからの筆者の主張とは一見矛盾するようにもみえます。
実はこれはホームページというメディアが持つ致命的な欠点のひとつです。TVコマーシャルなどは、番組を見ている人の前に有無をいわさず、情報のシャワーを浴びせるたいへん能動的で強力なメディアですが、ホームページは現在のところアクセスしてくれた人以外には情報を届けることのできない、きわめて受動的なメディアなのです。もっとも今注目されているプッシュ技術の今後の発達次第によっては、このあたりも大きく変化する可能性がありますが…。
ともあれ、先ほどの矛盾についてはこう考えてください。筆者のいう「オンラインショップ」とは、そもそも検索エンジンやその他の広告と一体となった「広義のホームページ」を差しているのだ、と -- 。もちろん検索エンジンそのものとホームページとはまったく別物であることはいうまでもありません。しかし、ホームページにアクセスする人が、それらを操作上一連のものとして日常的に使っている以上、このようなとらえかたはそれほど間違ってはいないと思います。したがって少なくとも現状においては「オンラインショップ」イコール「広義のホームページ」と考えて何ら差し支えないのではないでしょうか。
またホームページにはAttention(注意を引く)とInterest(興味を抱く)の部分が欠落しているという事実は、次章から述べる具体的な制作ノウハウについても、重要な示唆を与えてくれます。それは、ホームページそのものは通常の広告と違って「注意を引く」必要もなければ、「興味を抱かせる」必要もないという結論に導いてくれます。すなわち、ホームページは最初からある程度の購買意欲を持った人たちを相手にすれば十分なのです。そしてこのことは従来カタログ制作の基本として知られている言葉をもじって次のような言い換えを可能にしてくれるはずです。
「人はホームページを見たから買いたいと思うわけではなく、買いたいからホームページを見るのだ -- 」。
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